2025/12/12
日東電工/滋賀大学による材料構造や特性の高精度な可視化・分析への取り組み
日東電工株式会社
- 課題発見
- 価値創造
- 研究開発
- 共同研究
- DS学部
- 連携協定あり
目視や専門技術者による画像評価を自動化
滋賀大学・日東電工デジタルイノベーション研究開発センター(NSIC:Nitto Shiga Innovation Center)では、日東電工(以下、Nitto)および日東分析センターから複数の技術者が参加し、滋賀大学の教員と共同で研究活動を進める協働型の研究体制を構築しています。現在は、飯山教授、松井教授、江崎准教授を中心に、滋賀大学から計12名の教員とNitto側の研究者がチームを編成し研究に取り組んでいます。
その1つに材料画像に対するセグメンテーション(領域分割)および機械学習を活用した解析手法の開発があり、材料構造や特性を高精度に可視化・分析することを目的としています。これにより、従来は目視や専門技術者の判断に依存していた画像評価の自動化と高効率化が期待されています。
NSICについて
滋賀大学と日東電工株式会社は、2017年度に産学連携による技術指導を開始し、共同研究に発展した後、2022年度にはその協力体制をさらに強化すべく、「滋賀大学・日東電工デジタルイノベーション研究開発センター(NSIC:Nitto Shiga Innovation Center)」を設立しました。NSICは、製造業における材料開発や製品設計と、滋賀大学が有するデータサイエンス・AI技術を融合させることで、製造現場の高度化や新規事業の創出を支援し、デジタルトランスフォーメーション(DX)による企業変革を促進することを目的としています。本センターは、単なる技術交流の場にとどまらず、「企業の現場ニーズ」と「学術研究の専門性」が交差する“実践知の創出拠点”として、従来の産学連携を超えた深い共創を実現しています。1918年の創業以来、Nittoは、粘接着などの基幹技術を複合・発展させ、現在ではテープ関連製品を扱う基盤機能材料事業、ICT分野を対象とする回路材料事業、光学フィルムを中心とした情報機能材料事業、高分子膜を活用するメンブレン事業、経皮吸収医薬品などを含むメディカル事業といった、多岐にわたる事業をグローバルに展開しています。
NSICの大きな特長は、Nittoの現場技術者が積極的に研究に参画している点です。製品設計の担当者が実際の製品や技術を大学教員に対して実演することで、教員は現場で抱える課題や技術の背景を体感しながら、より実践的かつ的確な課題解決型の技術開発が可能となっています。また、Nittoの技術者がデータサイエンスに関する知識を習得することで、自社内での技術展開や新たな応用につなげるスキルも養われています。NSICでは、短期的な課題解決に加え、中長期的な視点での研究にも腰を据えて取り組むことができます。これは、企業と大学が継続的にリソースを投入できる共同研究センターという枠組みがあるからこそ実現可能な取り組みです。NSICは今後も、学術研究と産業技術の融合による新たな知見の創出、現場主導のイノベーションの推進、次世代産業DXを牽引する人材育成・技術開発の拠点として、大きな発展が期待されています。
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| 専門領域キーワード | 材料科学 |
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