産官学連携

データサイエンス学部・清水昌平教授の監修による因果探索アプリケーション 「Causalas(コーザラス)」が(株)SCREENアドバンストシステムソリューションズより発売

 近年、機械学習や深層学習(Deep Learning)を中心に、ビッグデータを活用した高精度な予測や識別が可能となったことで、多くの企業がビジネスにおけるデータ活用に取り組んでいます。一方、データに基づいた施策の実施や効果検証を行うためには、それぞれのデータにおける相関関係だけでなく、因果関係を明らかにする必要があります。しかし、因果関係の推定には複雑な分析が必要となるため、観測データのみを使っての推定は難しく、適切な施策や効果検証につながりにくいことが課題となっていました。

 株式会社SCREENアドバンストシステムソリューションズはこのほど、変数間の関係を分析し、最適な因果グラフ※1を自動的に推定するアプリケーション「Causalas(コーザラス)」※2を2月28日に発売しました。相関関係による表面的な関連性だけでなく、データの背景にあるメカニズムや原因を特定することで、施策の有効性や効果の予測を可能にしました。また、変数間の関係を分析し、自動的に推定した因果グラフ※1を描くことで、変数間の因果関係を可視化することができます。Causalasは、清水教授により開発された統計的因果探索アルゴリズム「LiNGAM」※3を採用しており、清水教授の監修を受けて開発されました。

 Causalasの発売により、ビジネスにおける意思決定や問題解決の際に、データの分析、有効活用がますます期待されます。

ノードとエッジで可視化された変数間の因果関係

※1 変数間の因果関係をグラフ(ノードとエッジ)で視覚的に表現したもの
※2 因果関係を意味する「Causal」とアドバンストシステムソリューションズの略称である「AS」を合わせて「Causalas」
※3 Linear Non-Gaussian Acyclic Modelの略。観測変数の分布の非ガウス性を利用して因果グラフを一意に推定できる手法

清水教授

《清水教授のコメント》
 機械学習が普及する中、統計的因果推論への期待が高まっています。データに基づく意思決定を行う上で、予測するだけでなく因果関係を調べることも重要です。Causalasは、データに基づいて因果グラフを推定し、因果関係の分析を支援します。LiNGAMやCAM-UVなどのアルゴリズムを利用でき、ブートストラップ法による信頼性評価や介入シミュレーションの実行も可能です。 SCREENアドバンストシステムソリューションズは、この統計的因果探索に早くから注目し、滋賀大学との技術指導契約を通じて知識を習得され、Journal of Machine Learning Researchに統計的因果探索のPythonパッケージを出版されています。これらの知識とスキルは、ソフトウエア開発に生かされています。Causalasが医学や社会科学、製造業やマーケティングなど、学術分野と実務分野で広く利用され、データに基づく意思決定に活用されていくことを期待しています。

お知らせトップへ戻る