イベント
第1回 文理融合探究ワークショップ/ 第65回 データサイエンスセミナー
開催日時:2019年10月30日 12:50-14:20
開催場所:223室(データサイエンス棟2階)
講演者:大塚 淳 氏 (京都大学文学研究科哲学専修、理化学研究所革新知能統合研究センター因果推論チーム)
題 目:自然種の表現としての数理・因果モデル
概要:
今日、数理的手法は科学において必要不可欠なものになっている。しかし、なぜ頭の中でアプリオリに導き出される数学が、現実に生じる自然現象の解明に役立つのだろうか?18世紀にカントが提出したこの問題に、本講演ではこう答えたい:数学が自然科学の役に立つのは、それが当該科学において「ある」と前提とされ、その推論を支えているところの基礎的な存在物、すなわち哲学者が「自然種(natural kinds)」と呼ぶものを表現するための言語を提供するからである。こう考えると、それぞれの分野でどのような数理的手法が使われているのか/使われるべきか、という問題は、各分野でどのような存在論的前提が取られているか、という問いに直結する。この一例として、演者がこれまで取り組んできた、因果モデルによる進化生物学の再定式化を簡単に紹介することで、進化的推論を支える生物学的な自然種が、因果モデルによって表現できることを示したい。続いて後半部では、より問いを一般化して、そもそも数理的手法によって自然種を表現することはなぜ可能なのか、その条件について一つの仮説を提案してみたい。