イベント

第74回 データサイエンスセミナー

開催日時:2019年12月16日16:10-17:40

開催場所:DSラーニングコモンズ(データサイエンス棟1階)

講演者:斎藤 正也 氏 (統計数理研究所)

題目:定点調査によるインフルエンザ捕捉率の力学的推定 –推定手法の構成と実データ適用への課題

概要:
 インフルエンザの定点報告は本疾患が小児を中心に罹患することもあり捕捉率に強い年令依存性が存在する。血清調査データなどの補助情報により捕捉率を推定することも可能であるが、ウイルスが対象集団内でほぼ完全な感受性を持つことを必要とする。そこで本研究では報告数時系列のみから適当な力学モデル(nクラスSIRモデル)のもとで捕捉率を復元することの可能性を検討した。理想的状況、すなわちnクラスSIRモデルから観測データが生成される場合に復元できることを方程式系の導出その数値計算によって示した。しかし、実データ(2009年のパンデミック時のデータに適用する)する場合、妥当な解が求まらなかった。その原因として考えられるこれはSIRモデルと現実の感染動態との乖離を考察した。

講演者:濱口 由子 氏 (結核研究所 臨床・疫学部)

題目:結核疫学研究における疫学情報の活用と感染症サーベイランスシステム

概要:
 結核(TB)は人類史上最も古い感染症のうちのひとつであり,世界10大死因のひとつである。単独の感染症による死因では最も多くを占め、その自然史や発症メカニズムは未だ解明されていない。結核研究所臨床・疫学部では、感染症サーベイランスシステム(National Epidemiological Surveillance of Infectious Disease; NESID)のサブシステムである結核患者登録情報システムの運用による結核発生動向のモニタリング、疫学情報を活用した結核感染・発病リスクの評価,国・および地方自治体と連携しての結核対策(national Tuberculosis program; NTP)の評価,国内外でのフィールドリサーチといった幅広い疫学的研究を通して、科学的根拠に基づく政策立案(EBPM)と提言に取り組んでいる。本セミナーでは,結核の疫学情報を活用した感染症数理モデルによる実装と結核患者登録情報システムの概要について共有し、結核の疫学情報の二次活用における発展可能性と医理工連携の可能性について活発な議論を行いたい。

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