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データサイエンス学部・島田貴仁教授が茨城県議会で講演~エビデンスに基づく防犯対策のために

 2025年8月18日、本学データサイエンス学部の島田貴仁教授が茨城県議会文教警察委員会において、意見陳述を行いました。

 「エビデンスに基づく警察活動・犯罪予防 変化する社会と犯罪から県民を守るために」と題した講演では、県議会委員らに対し、同県の地理的・社会的特性を概観した上で、効果的な犯罪予防対策を創出するための4つのアプローチ—①分析により対策の的を絞る、②問題解決型の対策立案、③ナッジによる行動変容の促進、④社会実験による効果検証—について、具体的な事例を交えて説明しました。行動経済学・ナッジ理論を活用した実践例としては、ATMでの特殊詐欺防止策や公共空間における防犯デザインなど、国内外の先進的な取り組みを紹介し、人々の心理や行動特性を踏まえた防犯施策の可能性を示しました。

 島田教授は、同県が社会情勢や犯罪の変化に的確に対応するためには、他県で行われている取り組みをそのまま踏襲するのではなく、同県が置かれた状況を分析し、その結果に基づいて施策を実施・効果検証を行う、エビデンスに基づく政策形成(EBPM: Evidence-Based Policy Making)の考え方が有用であることを強調しました。その手段として施策の目詰まりを予測・チェックするための「ロジックモデル」の導入や、実務家が研究者と協働してエビデンスを創出・活用できる仕組みづくりの必要性にも言及しました。講演後には、子ども・女性の安全対策への適用など、活発な質疑応答が行われました。

 本意見陳述は、同県が抱える特殊詐欺や自動車盗などの課題に対して、データサイエンスと行動経済学を活用した新たなアプローチの方向性を示すものとなりました。今後、各地の政策担当者・実務家が研究者と協働することで、効果的な防犯対策の推進に貢献することが期待されます。

 当日の資料は、https://www.pref.ibaraki.jp/gikai/iinkai/shiryo.htm#bunkyo から参照することができます。

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