《2025年6月12日》第192回 データサイエンスセミナー(講演者:藤田 茂氏、題目:「宇宙天気再解析データ作成のための基盤研究とそれから派生した諸成果」)
日時:2025年6月12日(木) 10:30 ~ 90分
場所:講堂 多目的ルームⅠ および web併用(※ 対象は特に限定しない)
講演者:藤田 茂 先生(統計数理研究所・データ同化研究センター)
題目: 宇宙天気再解析データ作成のための基盤研究とそれから派生した諸成果
概要:
宇宙天気は、美しいオーロラを伴うような現象を引き起こす要因として人々の関心を集める一方で、時には強い擾乱が発生し、人工衛星の安全性を脅かすなど、現代社会に大きな影響を与えることがある。我々は、こうした宇宙天気現象を再現する数値モデルを構築し、主に宇宙天気研究に応用しようとしている。
この数値モデルは宇宙天気現象を定性的に再現できたが、さらに精度を上げることを目指し、データ同化技法を応用し、宇宙天気再解析データの作成に向けた基盤研究を進めてきた。一方で、この数値モデルは大きな計算資源を使う欠点がある。そこで、モデルの入力と出力の関係を機械学習により学習させて、計算コストが低いエミュレータを開発した。現在は、この2つのモデルの特徴を生かした宇宙天気研究を進めている。即ち、エミュレータを使って様々な入力に対する応答を調べ、特徴的な宇宙天気現象を「帰納的に発見」し、次に元の高精度モデルを使ってその原因を「演繹的に解明」するというアプローチである。この取り組みを通じて、宇宙天気の物理過程を統一的に理解できる可能性があると考えるようになった。セミナーでは、これらの研究の進展と展望についてお話しする予定である。なお、本研究は、片岡龍峰博士(沖縄科学技術大学院大学)、中野慎也教授(統計数理研究所)、中溝葵主任研究員(情報通信研究機構)との共同で実施している。本セミナーの内容は、https://www.ism.ac.jp/ism_info_j/labo/project/165.htmlに紹介されている。
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