《2024年6月3日》第162回 データサイエンスセミナー(講演者:増島 稔先生、米井 公治 先生 題目:「無邪気で危険なデータサイエンティストたち」)
日時:2024年6月3日(月) 15:30 ~ 90分
場所:講堂 多目的ルームⅠおよびWeb併用
(※ 対象は学内および一部の学外の連携施設のみに限定。)
講演者:
増島 稔先生:滋賀大学特任教授、SBI金融経済研究所(株)前 内閣府 経済社会総合研究所長)
米井 公治 先生:みずほリサーチ&テクノロジース(株) 前(株)みずほ銀行副頭取執行役員 業務統括補佐兼CIO
題目: 「無邪気で危険なデータサイエンティストたち」
概要:
本セミナーでは、政府や企業のデータサイエンティストへの期待と政府や企業に所属して活動するデータサイエンティストが直面する課題について、経済官庁や銀行でのデータ活用の事例とともにご紹介します。
前半は政府について議論します。政府は政策効果の高い「賢い支出」(Wise Spending)に転換しようとしています。そのためには「証拠に基づく政策立案」(EBPM ; Evidence-Based Policy Making)が重要であり、データサイエンティストの活躍の場は広がっています。他方で、質の高いエビデンスしか許容しなくなると、多くの施策は執行できなくなってしまいます。各省庁には、所管する政策を擁護するため、「政策ありきの証拠づくり」(PBEM ; Policy-Based Evidence Making)をする誘因が働きます。無邪気なデータサイエンティストは無意識にそれに手を貸してしまう危険があります。
後半は企業について議論します。企業では、データサイエンティストの活動に対して、往々にして期待は過大であり、それ故に成果は期待値に届かないといわれる危険性があります。また、無邪気にデータを扱うことだけでは許されず、企業に課せられる規制やリスクへの対応、データを活用しての企業活動の変革を担い、収益への貢献も期待されます。さらに、変革活動を担うということは、七人の敵の協力を得るという企業内での組織横断活動が要求されることになります。裏返してみると、無邪気で危険なのは政府や企業サイドではないのかという自戒の念も込めて、データサイエンスを学ぶ皆様へのエールとさせて頂きたいと思います。
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